
袋を開けた瞬間、まるでえびの塩焼きのような香ばしさが鼻孔をくすぐり、濃厚な旨みが口いっぱいに広がる。
桂新堂の定番作品「炙り焼き」は、職人の技と「もっとおいしくしたい!」という食への探究心がぎゅっと閉じ込められた、こだわりの結晶です。
約40年前の誕生から、味の革命、そして到達した現在地、さらに未来への展望まで、炙り焼きが多くの人に愛され続けるそのおいしさの裏側を、じっくりと紐解きます。
約40年前、炙り焼きのルーツ「蝦焼菓」が誕生

現在の炙り焼きの前身となる「蝦焼菓(さやか)」が誕生したのは、1986年のこと。
「えび本来の味わいを極限まで引き出した、桂新堂にしかできないお菓子をつくりたい。」そんな想いから生まれました。
当時の桂新堂でつくられていたえびせんべいよりも、たっぷりのえびを惜しみなく使用。素材本来の旨みをぎゅっと凝縮した、これまでにない贅沢な味わいが叶いました。

その特別感を込めて、贅沢な「蝦(えび)」の「焼」「菓子」、「蝦焼菓(さやか)」と命名。 発売後もえび本来の風味と香ばしさを研究し続け、幾度となく細かな改良を重ねてきました。
蝦焼菓から「炙り焼き」へリニューアル、味の革命期

この年、新たに発明した製法で焼き上げるため、愛知県大府市に「炙り焼き工場」を新設。
えびの風味を最大限に引き出すための専用機械を導入し、さらなるおいしさの追求に挑んだのです。
この大きな変革に伴い、名称も「蝦焼菓」から「炙り焼き」へと刷新。
噛むほどに感じる香ばしさと、えび本来の旨みを追求する精神はそのままに、現代にふさわしい味わいを届ける桂新堂の新たなえびせんべいとして、生まれ変わりました。 その後も、毎年細やかな改良を積み重ね、炙り焼きは進化を続けています。
一から見直し、新たな風味の追求へ

「炙り焼き」として新たなスタートを切ってから10年、2021年に、桂新堂の炙り焼きに大きな変革が訪れます。
コロナ禍を経験し、定番のえびせんべいをよりおいしくしたいという想いのもと、炙り焼きづくりを一から見直すことになりました。
えびの風味をこれまで以上に凝縮し、濃厚さだけでなく、繊細な本物の味わいを実現するために、新たな製法を生み出しました。

この新製法に合わせて、原材料もゼロから見直すことに。
何百種類もの組み合わせを試し、素材同士の相性や香り、旨み、のどごしの良さ、食欲をそそる色合いまで、細部にわたる改良を重ねました。 その味わいにふさわしいものを求めて、パッケージデザインも一新。見た目からも、新しい炙り焼きの魅力を感じていただける仕上がりになりました。

2021年以降も、おいしさの追求に終わりはありません。
2022年には、えび本来の香りをより強く際立たせる改良を実施。さらに翌2023年は、現代の嗜好に応える「軽やかさ」と「濃厚な旨み」の両立を目指して、製法の見直しを重ねました。 さらに2024年には、鼻に抜ける香ばしさを追求。まるでえびの塩焼きを食べているような、上質な香りへと進化を遂げてきたのです。
袋を開ければ、もう虜。2025年の「新・炙り焼き」

そして、2025年。
桂新堂の長年の経験と技術力、そして数々の挑戦を礎に、味、香り、食感、すべてにおいてさらなる高みを目指す境地へ、新たな一歩を踏み出しました。
改良の鍵となったのは、「開封した瞬間から鼻孔をくすぐる、えびの濃厚な香り」。
ぴりりと袋を開けた指先から、ふわりと立ちのぼるえびの芳香は、まるで焼きたてのえびの塩焼きを彷彿とさせるような上質さです。
その香ばしさとともに感じられるのは、えびそのものの豊かな旨み。潮風とともに海の恵みを口いっぱいに頬張るような、まさに「本物」を思わせるおいしさが広がります。
味わいにおいても、旨みの層が幾重にも重なる設計に仕上げました。
一口目、最初に感じるのは、しっかりとしたえびのコクと深み。噛みしめるほどに繊細な甘みが口の中に広がり、香ばしさとともに心地良い余韻を残します。 塩気は控えめながら、えび本来の塩味と旨みを引き立て、思わずもう一枚…と手を伸ばしたくなる、後を引くおいしさです。

えびの身が持つ自然な甘みを引き出した、旨みと香りがより一層際立つ仕上がり。
一口、また一口と食べ進めるごとに、えびの奥深い味わいと香りが波のように押し寄せます。
「食べ終えた後も、その余韻が心に残る。」そんな“味わう楽しみ”を、どこまでも追求しました。
おいしさに挑み続ける、つくり手の探求心
桂新堂の炙り焼きのおいしさは、決して簡単に生まれるものではありません。
その裏には、職人たちの技術と情熱が詰まっています。
炙り焼きは、大きく分けると「生地焼き」「乾燥・熟成」「仕上げ焼き」という3工程を経て焼き上がる、繊細かつ手間のかかる逸品です。
なかでも最も難関なのが、最後の「仕上げ焼き」。
製造を担当するスタッフは、こう話します。
「仕上げ焼きの工程は、これまでの生地焼きや熟成で守り抜かれてきたえびの旨みや香りを、一気に花開かせる重要な工程です。
でも、火加減や焼き時間がほんのわずかでも狂うと、香ばしさが足りなくなったり、えびの風味を損ねてしまうこともあるんです。本当にとても繊細です。」
まさにこの「仕上げ焼き」は、これまでのすべての工程の集大成であり、繊細な技術と経験が問われる、とても大切な仕上げなのです。
炙り焼きづくりは一見、機械で自動的に量産されているように見えるかもしれません。
ですが実際には、細やかな調整が必要で、まさに仕上げは職人技の極みともいえる仕事。えびの風味、食感、香り……そのすべてを最高のバランスで引き出すためには、経験と技術力が欠かせません。 こうして焼き上がった一枚には、職人の熱い情熱とこだわりが宿っているのです。
桂新堂の炙り焼き、その先の未来へ
炙り焼きは、桂新堂を代表するえびせんべいです。
その味わいは「えびせんべいの王道」といっても、過言ではありません。
しかし、私たちは現状に満足することなく、さらなるおいしさをどこまでも追い求め続けます。
手に取っていただいた皆さまに、「さすが桂新堂!」と感動してもらえるように。これからも、素材選びから製法の工夫、香りや食感、その細部にこだわり抜き、味わいを高める挑戦を続けていきます。
そして、炙り焼きを通じて、えびのおいしさを伝えるだけでなく、心に残る「食の体験」をお届けしたいと思っています。 これからも、桂新堂の炙り焼きにご期待ください。