「渦巻き」というえびせんべいをご存じでしょうか。
「甘えび磯焼き」や「甘えび浜焼き」などと一緒に詰め合わせている小ぶりなえびせんべいで、サクサクとした軽い食感と豊かな風味が特徴です。
昔からのファンも多く、桂新堂の隠れた名品となっています。
この渦巻き、実はつくるのに大変な手間がかかっているのです。
今回は知る人ぞ知る名脇役「渦巻き」の生産の様子について、ご紹介します。
こだわりの素材
えびは小ぶりながらも濃い旨みが特徴的な赤えびを使用。
世界の海から選りすぐり、殻と身のバランスや殻の硬さが最適な赤えびをえびせんべいにしています。
渦を描くための海苔は、硬くて破れにくい愛知や兵庫などの国産海苔を使用しています。
他にも北海道産の馬鈴薯澱粉、徳島県産の阿波和三盆、伊豆大島の天然海塩など、厳選した素材が渦巻きの美味しさを支えています。
生産工程①生地の焼成~乾燥
渦巻きが出来上がるまでの工程をご紹介します。
赤えび・でん粉・砂糖・塩を混ぜ合わせた生地を四角い鉄板に流し、その上に海苔を敷いて鉄板で挟み焼きをします。
生地が焼き上がったら、熱々のまま生地を適度な大きさにカットして、人の手で棒状に丸めていきます。
中の海苔が綺麗な渦を巻くよう生地の両端を親指の腹で丸め、手のひらで優しく成形を行います。
この丸める工程が実に難しい!
生地の熱さに耐えながら、素早さと絶妙な力加減が求められます。
強すぎても潰れてしまってもダメ…弱すぎても中に空洞が出来てしまってもダメ…
現在、桂新堂内で渦巻きを美しく巻ける職人はたった5人。
綺麗に巻くコツは熱いうちにすばやく隙間ができないように締めながら巻き込むこと。
そうすることでカットした後にきれいな渦の模様が出るそうです。
丸めた生地を乾燥させ、金太郎飴のように裁断。
その後、水分が均一になじむまで熟成をして、さらに鉄板で焼いていきます。
ここまでの乾燥の工程が渦巻きの味や見た目に大きく影響します。
梅雨の時期はなかなか乾燥せず大きくなりすぎたり、カビたり…
冬の時期は乾燥しすぎてサイズが均一にならないこともあります。
そのため、美味しく仕上げができる生地の状態をつくるために、春や秋などの気候が安定した時期に計画的に生産しています。
生産工程②乾燥させた生地の仕上げ焼き
特注の道具で鉄板の上に並べ、効率よく焼き上げてきます。
美しく整列された、渦巻き。
昔は一枚一枚人の手で鉄板に並べて生産したというので驚きです…!
鉄板で一定時間挟んで焼き上げれば、渦巻きの完成です。
目立たない存在ですが、陰で桂新堂を支えてくれている逸品とも言えるかもしれません。
召し上がる機会がありましたら、ぜひ注目してみてください。